わたしの体験談

私はもともと心臓障害を持っていました。
 
幸い手術が成功し、就職して働いて生活していました。
激しい運動などの制限はあるものの、
普通に生活する分には問題もなかったので
障害年金は受給申請しませんでした
 
というより、普通に生活できるので1級2級にも
該当しないため、支給されません
 

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障害者手帳では1級なので、
  • バスなどの公共交通機関が半額で乗れる
  • 映画が障害者割引で見られる
  • 警察で駐車禁止除外指定車の標章を発行してもらえる
 
くらいの差しかありません。
 
通勤には片道1時間少しかかっていました。
数年勤務のあと、人間関係や加齢による通勤による
ストレスが増大し、休職を繰り返しました
 
「不安抑うつ混合状態」という診断からはじまり
2度の復職のあと就業困難となり退職となりました。
 
その間に総合病院の精神科の担当医も
数人変わりました。
 
コロナ禍でもない当時でしたが
今と同様、障害者雇用の現実は厳しく、
心身ともに疲弊してゆきました。
 
このままでは生活ができなくなるので
雇用保険で生活しながら年金事務所
何度も連絡し、3級の認定
受けることになりました。
 
 

障害年金の利用

うつ病の診断が出ると3級でも
年額約58万円受け取れます。
支給は偶数月なので10万円弱
入金されます。
申請しない理由はないですよね。
 
 
国民年金加入者は「障害基礎年金」、
厚生年金加入者は「障害厚生年金」を請求できます。
 
うつ病の程度で障害の等級が決まり
等級に応じて年金が支給されます。
 
1)うつ病障害年金を申請するための前提条件
 
まず前提として「初診日要件」と「保険料納付要件」を
満たしていることが必要です。
 
「初診日要件」・・・障害の原因となった初診日が、
 
「保険料納付要件」・・初診日の前日において、
  • 初診日の属する月の前々月までの
    非保険者期間についての保険料納付済
    期間と免除期間をあわせた期間が
    加入期間の3分の2以上おさめられている、
    または、初診日の属する月の全然付きまでの
    直近1年間に滞納がないこと
 
 
2)うつ病の認定基準
 
症状が重い方から順に1級、2級、3級となっています。
3級は「障害厚生年金」のみ対象です。
 
障害の状態としては、
高度の気分、意欲・行動の障害及び高度の
思考障害の症状があり、かつ、これが持続したり、
ひんぱんに繰り返したりするため、
常時の援助が必要なもの。⇒1級
 
気分、意欲・行動の障害及び高度の
思考障害の症状があり、かつ、これが
持続したり又はひんぱんに繰り返したりするため、
日常生活が著しい制限を受けるもの。⇒2級
 
高度の気分、意欲・行動の障害及び高度の
思考障害の症状があり、その症状は著しく
ないが、これが持続又は繰り返し、
労働が制限を受けるもの。⇒3級 

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3)障害年金の申請手続きの進め方
 
  • 初診日を調べる
  • 医師に診断書の作成を依頼する
  • 「病歴・就労状況等申立書」を作成する
  • 日本年金機構へ審査依頼する
 
 
4)支給される年金額
 
年収が約360万円を超える人は支給額が半分になる
などの制限があります。
 
障害(厚生)年金の加入期間によって
細かな違いはありますが、
  • 1級・・・約97万円/年
  • 2級・・・約78万円/年
  • 3級・・・約58万円/年
 
支援制度としての障害年金について
分りやすくまとめてみました。
 
 
申請手続きを自分で行えば年金機構との
やりとりや書類の入手、または担当地域の
年金事務所への往復などの費用で済みますが、
とても大変です。
 
障害年金相談事務所へ依頼することで労力を
軽減することはできますが、年金2ヶ月分か
少なくても約11万円ほどの費用がかかります
 

支援制度を活用する

保険に入っていて支出があるときは
保険料の申請をしますよね
うつ病に対する公的支援もあります。
どのような支援が受けられるか早期に
理解し、申請するようにしましょう。
 
 
 
休職中で事業主から報酬が
受けられないときの制度。
 
連続する3日間を含み
4日以上うつ病で仕事を休むと、
給料の3分の2が支給される。
手当の期間は最長1年6ヶ月。
 
国民健康保険の人は利用できない
 
正規雇用の人が増えている昨今、
雇用主とどのような契約になっているか
確認しなければならない。
 

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自立支援医療制度(精神通院医療)
 
治療が長期にわたると判断された場合には、
医療費(保険適用で治療)の自己負担が1割になる。
 
ただし、通院する医療機関指定自立支援医療機関であることが条件。
 
また、原則一定以上の収入がある場合は適用されないが、
うつ病が重度で継続的に治療が必要だと
証明される場合はこの限りではない。
 
有効期間は1年。更新可能。
 
 
精神障害者保険福祉手帳
 
長期間にわたり治療が必要となるうつ病の場合、
認定されれば精神障害者保険福祉手帳を所持できる。
 
公共料金の割引や税金の控除、免除、などを
受けることができる。
 
発行は市町村のため申請は市町村ごとに
異なる支援を受けることができる。
有効期限は2年。更新可能。
 
 
その他
 
  • 心身障害者医療費助成制度
  • 高額療養費制度
  • 労災補償
  • 生活保護
 
支援制度が掲載されています。
 
障害年金については次に詳しく説明します。

共倒れにならないために

家庭という閉じた空間でうつ病の夫と生活していると、
まわりがみえない状態になり、妻自身が抑うつ状態になることがあります。
 
「夫を助けよう」と献身的になり過ぎ、
ふたり揃ってうつになる危険性があります。
 
 
こんな考え方になっていたら黄色信号
 
  • なんで、こんな人と結婚しちゃったんだろう
  • 私になにか足りなかったのかしら
  • 夫は私のことを愛していなかったのかも
 
 
さらに次のような感情やキレ方をするようだと赤信号
 
  • 全部投げ出して逃げ出したい
  • 私ばかりこんな酷い目にあうの
  • 夫はいつも寝てばかり、腹が立つ
 

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つらいときには、まずは夫の主治医に相談

 
夫がうつ病になると、妻は先の見えない不安に苦しめられます。
看病に加え、仕事や家事、育児をひとりで
こなしているうちに追い詰められ、
自分までうつ病になってしまうのです。
 
夫のうつ病治療では、
妻の看病が大きな支えのひとつです。
 
しかし、夫ができることまで先回りしてやってしまい、
過剰介護になって共倒れになりかねません。
 
夫を看病中の妻にはサポーターが必要です。
子育て中ならこども家庭総合支援拠点などで
支援が受けられます。
 
支援団体については次に詳しく説明します
 
妻の精神状態が悪化した場合には、夫の主治医に相談し、
カルテを着くってもらい一緒に治療を受けましょう
 
自分自身も治療を受けることで、
夫に対する見方も変わることでしょう。
 
 

気楽に遊ぶようになってきたら回復の兆し

ほぼ症状はとれてきていますが、
無理してがんばってはいけません。
 
義務的なことはさけ、やりたいことだけを行い
疲れる前に切りあげてください。
 
周囲にはサボっているように見えるため、
治療中であることを説明し理解を得ましょう。
 
  • 徐々にやりたいことが出てくる
  • 集中力は完全には回復していない
  • やりたいことがっても「おっくう」な気持ちが強い
  
NGな行動
 
  • 複雑な対人関係が含まれること
  • 競争要素が強い遊び
 
対人関係の注意
 
  • いきなり職場に復帰してはいけない
  • 親戚からの干渉を遠ざける

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「回復期」にむかって━━━━━━━━━━━━━
 
精神の回復度は8割程度です。
ときおり、症状をぶり返す「再燃」が起こります。
 
少しずつでいいので職場復帰の準備を考えましょう。
 
  • ほとんど元気にみえるが、本調子ではない
  • ほぼできるようになるが8割程度までしかできない
  • 不眠、早朝の覚醒などの睡眠障害だけが残る人も多い
 
NG行動
 
  • 環境の激変(引っ越しなど)
  • 重大な決断
 
対人関係の注意
 
  • 再発させないために、集団生活に慣れながらリハビリを行う
  • 職場復帰に向けて面談を行う
 
 
 
 
 
 

受診から1ヶ月の生活

受診から1ヶ月の生活がとても重要です。
ここをうまく乗り切れば悪化させずに、
長期間の通院を避ける可能性が高いです。
 
「急性期」はいわば大事故にあった直後状態。
手足が折れて起き上がれないくらいの大けがをイメージしてください
 
夫本人は気力もなく、なにもできません。
1ヶ月程度は食事や服薬、トイレ以外絶対安静
できれば静かに休める空間を用意しましょう。
 
  • 頭痛、不眠、食欲不振などが現れる
  • 不安感、倦怠感が強く疲れやすい
  • 意欲、興味が消え失せている
  • 熟睡できない、早期に目が覚めてしまう
 
 
この時期のNG行動
 
  • 過度な運動
  • 家事や育児
 
対人関係の注意
 
  • 冠婚葬祭でも断る
  • 職場の人と直接連絡させない
  • 親戚との接触は避ける
  • スマホ、パソコンも避ける

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「亜急性期」になると、倦怠感が少し薄れますが、
まだ疲れやすさが残っています。
薬がよく効く時期で、動くときは疲れない範囲で。
 
この期間は約3か月くらいまでと考えましょう。
 
この時期も急性期と同様
 
  • 人混みを避ける
  • 家事や育児を避ける
  • 人との交流避ける
 
  • 職場の人との接触を避ける
  • 実家や親戚と話させない
 
といった疲れさせない」生活が重要になります。

うつの治りが早い人と遅い人の違い

うつ病にはいくつかのタイプがあり処方される薬や経過が異なります。
 
うつ病と呼ばれる「定型うつ病」はもっとも
多く治療法が確立しています。
 
新型うつ病と呼ばれる「非定型うつ病」や、
ほかの精神疾患が変損している場合は治療に
時間がかかることがあります。
 
治りが早いタイプ
 
  • 定型うつ病である
  • 不安や自律神経症状はあまりない
  • 妄想や幻覚などの精神症状はない
  • 自殺念慮、自殺企図がない
  • 他の病気は一切合併していない
  • うつの症状が初回または2回目
 
治りが遅いタイプ
 
  • 非定型うつ病である
  • 不安や自律神経症状が目立つ
  • 妄想や幻聴などの精神症状がある
  • 自殺念慮自殺企図がある
  • ほかの病気を合併している
  • 過去に2回以上うつのような時期があった
 
楽しいことがあれば気分が良くなる「非定型うつ病」は治りが遅いケースが多いです。

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つぎに環境面があげられます。
うつ病の治療は家庭での休養の程度に左右されます
家庭の環境や雰囲気がとても重要。
 
夫婦・親子関係が良好で家族みんなで「安心して休ませてあげよう」と
協力できる家庭なら治療もスムーズにゆきます。
 
治りが早いタイプ
 
  • 夫婦関係、親子関係が良い
  • 家庭生活を臨機応変に変化させ、家事や子育てもアウトソーシング*1できる
  • 家に静かに休める空間がある
  • 休職できる程度の経済的ゆとりがある
 
治りが遅いタイプ
 
  • 夫婦関係、親子関係がよくない
  • 家庭生活に対する固定観念が強く、家事や子育てのアウトソーシングに抵抗がある
  • 家が狭く、うるさくて休養できない
  • 休職で生活が回らなくなるほど経済的に困窮している
 
うつ病の夫 本人の症状だけでなく、
環境面でも差が大きく違ってきます
 
まわりのうつ病への理解の深さもよく考えてあげましょう。

*1:

アウトソーシングは外部(アウト)からの調達(ソーシング)を意味します。
この場合、家事代行や宅配などを意味します。