休職して治療した方が再発の心配が少ない

うつ病の治療で肝心なのは、しっかり休むことです。
休職したほうが治療はスムーズですが、
仕事への責任感や収入減などで判断に迷うかもしれません。
 
絶対に休職が必要なのは、幻覚、幻聴、妄想などの症状や自殺企図がある場合です。
寝たきり状態なら、事実上就労は不可能です。
 
出勤に抵抗があったり帰宅後ぐったりしてしまっているようなら休職すべきです。
 
職場で業務軽減などの環境整備ができなければ、
就労は避けるべきです。
 
無理に働き続けると症状が進行し、
ミスが頻発したりして結果として職場での評価が下がってしまいます

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最初の頃の症状と照らし合わせ、
よくなっているかで判断しましょう。
 
通院しながら就業できていたとします。
なかには処方された薬がよく効く人もいます。
 
しかし、2~3週間程度服用しながら仕事続けても改善しないようであれば
「このままでは難しいね」と休職を薦めます。
 
この頃になると本人も自覚が生まれ、案外スムーズに休職を聞き入れてくれるものです。
 
うつ病では10年以上、同じ医師が同じ患者さんを診療することもあります。
こういうケースでは、医師は患者さんの人生そのものをみているとも言えます。
 
自分を理解してくれる医師がいると心強く感じられ、
うつ病を乗り越える強い味方になります。
 
 
休職したらしっかり治療に専念しましょう。
復職へのあせり、不安、本人も妻も気になるところですが、
8割以上回復できて初めて調べるといいことです。
 

まずは薬物療法

うつ病の治療には、休養がなによりも重要です。
 
特に薬は処方された量を確実に飲み続けなければなりません
 
途中で勝手に止めたりするとたちまち症状を悪化させ長引かせてしまいます。
 
 
薬物療法では、抗うつ薬抗不安薬など、症状に応じて様々な薬が使われます。
 
治療開始時では1~2種類程度の薬が処方されます。
 
 
1週間後の診察で経過を観察します。
薬の反応性には個人差があります。
 
週1回のペースで診察し、薬の種類や量を調整してゆきます。
 
このように薬への反応性を見ながら、脳内神経物質の量を一定にキープします。
 
抗うつ薬は、頭痛薬などの鎮痛薬とはことなります。
 
痛くなったら服用するのではなく、常に飲み続けることで効果を発揮します。
 
うつ病の症状がひどくて食事が取れない場合でも、薬だけは飲んで下さい
 

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うつ病の治療は長期間に及びます。
その間、風邪薬を飲むこと、お酒を飲むことがあるでしょう。
 
抗うつ薬への影響を理解しておきましょう。
 
もっとも気をつけたいのは、アルコールと一緒に抗うつ薬をのむこと。
 
アルコールと薬は相互作用で薬が効きづらくなったり、効き過ぎてしまったりします
 
特に抗うつ薬と一緒にのむと、思考力、判断力を失い衝動的な行動を誘発しやすくなります。
最悪の場合、自殺行為に及ぶ恐れがあるわけです。
 
 
抗うつ薬を服用すると体重が増加するケースがあります。
 
これは薬そのものの作用というより、うつ病の症状とその兼ね合いで起こる現象です。
 
うつ病になると体を動かさなくなり消費カロリーが減少します。
基礎代謝も落ちやすいため、体重が増えやすくなるのです。
 
 
裏返すと、食欲が改善されて体は動けなくて体重が増える。
それは順調に回復に向かっている証拠とも言えます。

休職の判断とうつ病と似た症状が出る病気

うつ病の急性期には安静が必要なので職場の調整がきかないなら休職すべきです。
 
業務軽減など職場の環境調整がむずかしければ休職して治療したほうがよいです。
 
その判断基準は
 
  • 妄想、幻聴、幻覚がある
  • 自殺を考えてる
  • 寝たきりの状態にある
 
うつ病は一進一退を繰り返しながら少しずつ回復していきます。
回復を早めるにはきちんと休養の時間をとり、治療することが大切です。
 
 
休職への流れ
 
  1. 医師の診断書をもらう
  2. 上司に相談する
  3. 傷病手当金の申請

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まずは医師に診断書を書いてもらいます。
診断書には休職期間が記載されます。
 
どのくらい休職が必要かは医師と相談の上その時の状態に合わせて適切な期間が設定されます。
 
診断書を見せて、上司に相談しましょう。
会社によっては産業医の診断を受けたり人事部との面談を行う場合もあります。
 
病気で休職中に利用できる健康保険の「傷病手当金」があります。
 
休職中の生活を経済面で保障する制度で、最長1年6ヶ月間受給できます。
 
 
精神科などの医療機関へ行って1、2回の診断で「うつ病」といきなり認定されることは希です。
 
次のような軽度の症状名が書かれることが一般的です。
 
 
いずれにせよ診断書をもらい、休職期間が明記されていれば会社へ相談できます
 
 
うつ病と似た症状がでる病気と同時におこる病気
 
 
診断書にこのような病名が書かれる場合もあります。
診断書が出る以上休職が必要なのは変わりはありません

うつ病の進行と治療につて

個人差はあるものの、週に1回受診し薬で治す。
治療には段階があり2~3年で完治する。
 
うつ病には大きく分けて4つの段階があります。
 
  1. 急性期・・・・1週間~1ヶ月半
  2. 亜急性期・・・約3ヶ月
  3. 部分寛解期・・2週間から1ヶ月半
  4. 回復期・・・・2年~3年
 
寛解<かんかい>とは、全治とまでは言えないが 病状が治まっておだやかであること。
 
 
各段階はどんな状況かみていきましょう。
 
急性期
  • 意欲も活力もなく絶対安静が必要で、最も症状が激しくつらい時期
 
亜急性期
  • 好きなことならやりたいと思える時期
  • 急性期より少し倦怠感が薄れ、好きな事なら少しずつ取り組むことができる
 
部分寛解
  • 疲れにくくなり集中力が戻ってくる時期
  • 好きなこと以外でも行動できるようになってくる。
  • やる気で言えば50%以上と言える
 
回復期
  • 意欲も活力も8割程度が続く(しかし波はあり)。
  • 1ヶ月の間に気力が沈むこともある。
 
 
うつ病の治療は医師による診断から治療を開始する急性期を経て、
やがて安定した状態が保たれる回復期へ向かいます。
 
しかし、治療の経過には個人差が必ずあります。
 
自己判断で服薬をやめたりすると、うつ病が再発する
こともあるので焦らずに取り組むことが大切です。
 
大切なのは心と体の両方に目を向け、治療では
うつの症状を取り除き病気になる前の生活に戻っていくこと
目指してゆきます。
 

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うつ病治療に大切なのは、
十分な休養です。
 
うつ病において治療の基本となるのが
休養」と「薬物療法」です。
 
フル回転で毎日を送ってきた人にとって、
ブレーキをかけることは新たに自分のペースを
つかむきっかけになります。
 
そうすることで休養と薬物療法
本来の力を発揮できるようになります。
 
患者本人が自分が病気だから休んで良いのだ」と思える環境
作るのが第一歩となるわけです。
 
会社勤めをしている人にとって休業して悪化させる前に
早期治療を開始することが重要になります。
 
休業の判断については次に詳しく説明します。
 
うつ病ゆっくりと時間をかけて回復してゆきます
回復させるためには環境作りが必要となります。
 
休むことに慣れていないとついついこの機会に
何かをやらなければと考えがちですが、
自分自身を見つめ直す時間だと話してあげましょう。

夫が医療機関への受診を嫌がるときには

風邪でも早めの対応をすれば、
1、2日で治りますよね。
病気も早めに専門家にかかるのが
一番なのです。
 
 
妻が受診をすすめても拒絶されてしまうことがあります。
 
特にうつ病になると怒りっぽくなるので夫婦で口論になることもあります。
 
夫が受診を拒否したら無理に説得しようとするのは禁物です。
まずは、夫の気持ちを理解するように努めましょう
 
誰でも自分が「こころの病気」にかかっているということは、受け入れがたいものです。
 
自分の言動を信じてもらえなくなるかもしれないという恐怖感や、
「解雇されるのでないだろうか」
「仕事を任せてもらえなくなるのでないだろうか」
といった不安で動揺し熟睡できない日を過ごしています。
 
ほとんどのうつ病が薬で治るのは確かですが、
だからといって「薬がを飲めばすぐ治るわよ」
「単なるこころの風邪なだけよ」と、
必要以上に軽く扱う言葉は、本人を深く傷つける
のできをつけましょう。
 
初期のうつ病の場合には、本人が診察を拒絶するなら
無理強いせず、2~3ヶ月は様子をみてもかまいません。
場合によっては自然になおるケースもあります。
 
妻が余裕をもって「少し様子をみようか」というと、本人も安心します。
 
十中八九は治る病気らしいよ」などと伝えておくと、
そのうち自分から受診してみようかと言い出すかもしれません。
 

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親しい信頼できる第三者を探す
 
親友や先輩など身近に夫が信頼している人がいれば、
相談してみましょう。
ただ、夫の両親は感情的になりかえって
逆効果になることがあるので、避けましょう。
 
適当な第三者が見当たらず、どうしても精神科
などのの受診を拒絶する場合には、
内科などを受診し精神科へ紹介状を書いてもらうのが良いでしょう
 
内科的には問題はないという医師のお墨付きからの
紹介であれば精神科等への受診のきっかけになります。
 
このようにあらかじめ妻が電話で相談したり
面接を依頼するなどして状況を内科医師に
説明しておくと精神科等への診察がスムーズにゆきます。

うつ病とは

脳内の神経伝達物質の問題。
誰でもなる可能性がある。
 
うつ病は心の病気と言われますが、
実は脳の働きのバランスが崩れた状態です。
 
脳内物質の変化によって生じることがわかっています。
 
 
脳内神経伝達物質が減少することで起こる病気
 
脳の中には「セロトニン」「ノルアドレナリン」などの
神経伝達物質があり、多くの情報を処理しています。
 
なんらかの原因でこれらの伝達物質が減少すると、
思考パターンや身体に影響し倦怠感意欲低下
気分の落ち込みなどを生じさせます。
 
一般的にうつの症状は午前中に強く現れ、
夕方になると少し楽になります。
 
1日のなかでも変動するため、
自覚しにくいのが特徴です。
 
うつ病になりやすいタイプは仕事熱心で几帳面、
責任感が強いなどの生真面目なタイプです。
 
もちろん楽天的な人でも危険性はありますが
生真面目な人はストレス耐性が低く
いったんそういった状態になると慢性化しがちです。

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うつ病は初回ほど治りやすく、再発を繰り返すと
慢性化のリスクが高くなります。
 
このため、できるだけ早期に治療を開始し、
きちんと治すことが重要なのです。
 
 
働き盛りの男性は年齢とともに体力が
低下する一方、社会的責任は増すばかりです。
 
責任のある役職になると会社での代わりが
立てられないことも出てきます。
 
そうならないように早期の治療が重要になるわけです。

うつになるきっかけ

うつ病は日常が急変するような出来事
きっかけで発症する傾向にあります。
 
新しい環境に身を置くと一定以上の
情報量を超えたとき、脳が処理しきれ
なくなるのです。
 
そういった脳に負担がかかることが原因のひとつ、
失恋や離婚なのどの不快な出来事だけでなく結婚や
昇進といったイベントで発症するのこのためです。
 
喪失
家族との死別、離婚、失業、がんの告知など
 
対人関係
異動、パワハラ、配置転換、仕事のトラブルなど
 
環境の変化
就職、昇進、転職、長時間労働など
 
体の病気や不調
がんなどの完治しにくい病気、
更年期障害やホルモンの変化など
 
きっかけとなった事象が回避できるものであれば
原因を取り除けば回復に向かいますが、
日常が急変する事柄は回避できないことも
多いので頭を切り換えていかなければなりません。

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妻としてできること
 
精神科や心療内科を受診したことがない人に
とって自分がうつ病かもしれないという事実
受け入れがたいものです。
 
受診をすすめると怒ったりしがちになります。
 
否認されても無視せず夫の不安を理解してあげましょう。